覇章15~視察戦~

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 先に走っていったあおとを追いかけ、遅れてフェイトとみうの二人は学園に到着した。

「酷いです……」

 みうは呟いた。
 自分が住んでいた村では、こんな事を目の当たりにするなんてなかった。

「あおとはどこに?」

 そんな中にあって、フェイトは冷静に状況を分析していた。
 これは明らかにおかしい。
 ただの火事ではこうはならない。
 それに生徒や教師が無造作に倒れているという事は、既に事故の範疇を越えている。
 ――人為的なものだ――。
 それがフェイトの下した分析結果だった。

「――やっとお出ましか。待ちくたびれたよ」

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 ふいにフェイト達に投げられた言葉。
 声のする方を見る。
 その姿を確認して、フェイトはこの事態の張本人が、今目の前にいる者の手によって引き起こされたのだと察する。

「貴女は……?」

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「西の四天王の一人――リセだよ。有名なテスタロッサの少女よ、手合わせ願おうか」

 その立ち振舞い、持てるオーラは言葉に嘘偽りがない事を証明していた。
 そして、決してここから逃がしてはくれない事も。
 彼女はまるで肉食の獣だ――。フェイトの、リセに対する第一印象だった。

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「みう、みんなの救助活動をお願いします。動ける者と協力して、怪我人を優先してここから離れてください」
「フェイトちゃんはどうするんですか?」
「決まっています――!」

 フェイトは威嚇する。
 目の前にいる獣に対し、自身も相手を喰らわんばかりの獣の威嚇。

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「私は彼女を倒します。……あおとがどうしているのか気になります。さあ、みうは急いで!」
「うんっ、わかった!」

 みうが駆けていくのを確認し、フェイトの照準は完全にリセに定められた。

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覇章14~嘘だと言ってよ、先生~

 炎に包まれるギムナジウム学園。
 そこには学園の生徒、あるいは先生が見えるだけでも数人は倒れていた。

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「酷い……誰がこんな事をっ……」

 先にたどり着いたあおとは、その惨状に絶句した。
 そして、この惨状を演出した犯人に対して並々ならぬ怒りを抱いた。
 倒れている生徒に近づくと、運良く、とは言うべきなのか、かろうじて息がある者も発見する。

「しっかり、しっかりするんだ!」
「うう……」
「一体どうしたのっ? 誰にやられたのかわかるっ?」

 怒りの感情のままに、あおとは生徒に一方的な言葉を投げかける。
 その生徒はあおとの言葉を億劫に感じたのか、一際大きな呻き声をあげる。

「…………二人」
「えっ、二人?」
「さ、く……」

 生徒はそこまで喋ると、そっと口を塞がれた。
 塞いだのはあおとではない。
 あおとの視界の外からだった。

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「――もう、楽にしてあげましょう」

 唐突に耳に入った声は、とても聞き慣れた声だった。
 事実、その聞き慣れた声という、あおとの中での答え合わせは当たっていたのだ。

「……サクヤ先生」
「よく無事でいましたね、あおと君」
「それはこっちの台詞ですよ、サクヤ先生。……一体、何があったんですかっ?」
「……それに答える前に、今は無事な方々を救出する事が先決ではないでしょうか」
「……確かに。じゃあ、僕はあっちを見ますから、サクヤ先生は――」

 言い終わるのと同時か、あるいは少し早く、あおとに向かって風を切り進むモノがあった。
 ――だが、あおとはそれに気がつき、ギリギリの所でソレを回避する。
 惨状の犯人による攻撃か。
 それが真実ならばどんなに気が楽だっただろう。
 そのモノは、ほんの数秒前まであおとがいた場所、その地面に突き刺さっていた。
 そしてその突き刺さっていたモノというのは――ナイフだった。

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「ほう、よく避けましたね。わたくしの教えた戦闘訓練の数々は、決して無駄ではなかったようです」
「そこにいた子のおかげですよ。その子が最後に言おうとした言葉と、タイミング良く現れたサクヤ先生。……僕は確かにおバカかもしれませんけど、サクヤ先生にかつて教えてもらった洞察は磨いてきたつもりです」
「……素晴らしい回答です」

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 炎に包まれるギムナジウム学園には、かつての先生と生徒が相対していた――。

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覇章13~燃えさかる学園~

 山村に来てから三日が経った。
 あおと達は村人達に何故か歓迎され、そのまま三日が経ってしまった形だ。
 サクヤは一体どういう理由があって、あおと達にこの山奥の村へ行くように指示したのか。
 その理由はいまだにわからぬままだった。
 ただ一つだけ。その村に住んでいたみうと仲良くなれたという点では、全くの収穫無し、というわけでもない。

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「――ガウガウッ!」

 彼女――みうは、動物達と会話ができる。
 それは生まれながらの特技なのか、あるいは魔法によるものなのかは不明だ。
 魔法というものに関して、あおと達がこの村で得たものもある。
 それは、この村がかつては魔法使いを輩出し、世の中の混乱と共に現れる勇者に追従させる者を育てていたという事。
 だが、その魔法使いの血統も何代か前に潰えてしまい、現在は魔法使いがいないという事。

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「サクヤ先生は、この村で魔法使いを仲間にしろって言いたかったのかな?」
「その可能性はあるとは思う。今の村の雰囲気を見るとそうは思えないけど、かつては有名な魔法使いを多く輩出していたみたいだし……」
「もうここでやる事は無いのかな。あまり長居しても悪いし、僕達はそろそろ学園に帰ろうか?」
「うん。それが良いと思う」

 という事で意見がまとまり、その旨を村長に伝えようと立ち上がった時、それもよりも早くみうがパッと飛び立ち上がった。
 飛び立ち上がった。と形容するのが事実上で近しく、あおと達の視線はみうへと注がれた。

「どうしたの、みうさん?」

 一応、みうはあおと、フェイトの二人よりも一つ年上なのだ。

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「嫌な匂いがする。何かが焼ける匂い……」

 あおと達も嗅覚を集中させ、その焼ける匂いというのを感じ取ろうとしてみるが、何もおかしな匂いは感じられなかった。
 しかし、みうの表情は真剣であり、それが決して冗談ではない事をわからせた。

「山火事かな? いずれにしても様子を見に行くべきかもしれないね。みうさん、その匂いの場所はわかりそう?」
「うん、わかるよ。……でも、山火事じゃないかもしれないよ。木が燃える匂いというよりも……」
「……。わかった。詳しい話は後にしよう。今はその場所まで案内してください!」

 あおと、フェイトの二人は、みうの後に従い、その匂いの元へと移動を開始した。
 だがこれが、二人に待ち受ける激しい戦いの口火だとは知らずに――。

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覇章12~残された少女~

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「――ガウ、ガウッ!」
「あ、おい、ガウ! 急にどうしたんだ?」

 山森探索に入ってから数時間が経過した頃、ガウが急に走り出した事から、山村が近いと判断できた。

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「あおと、ガウの後を追ってみよう。サクヤ先生は、ガウに縁のある匂いを覚えさせたって言ってた」
「そうか。という事は、ガウはその匂いを捉えたから走り出したってわけだ」
「そういう事だね」

 善は急げとばかりに、二人はガウを追いかける。
 しかし、ガウの足はなかなかに速く、山森で道と視界が悪い事もあって、追いかけるのにも一苦労といった感じだ。

「はあっ、はあっ、ガウ……ちょっと、待って……てば」

 それでも何とか見失わないように追いかけ続けると、今まで薄暗かった視界は開け、目映いばかりの光が襲いかかってきた。

「――ここは!?」
「サクヤ先生の言っていた山村じゃないかな」
「……それにしても」

 その山村は、独特な雰囲気を纏っていた。
 まるで、その村だけが何年、何十年、何百年も時間が止まっているような、そんな錯覚を受ける。
 良い言い方をすれば、懐かしいような――。

「……勇者様?」
「えっ……?」

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 ふいに呼ばれた方を見ると、そこには一人の少女が立っていた――。

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覇章11~山森部探索~

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「――ガウを連れていってくださいね」
「え、そりゃ連れていきますけど……改めて何ですか?」
「その村に住む者に縁のある匂いを、ガウに覚えさせました」
「へえ、ガウってそんな事ができたんだね」

 ちなみに、ガウはいわゆる猫に近い種類なのだが、ある程度の鼻の良さから、専門家は犬のように扱う者もいる。

「過信は禁物ですが、何もないよりは遥かにマシになるでしょう」
「そっか。ありがとう、サクヤ先生。では、行ってきます!」
「行ってきます」

 旅立ちの言葉をサクヤに告げ、二人はギムナジウム学園を出た。

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「あまり無理はしないように……。辛くなったら小まめな休息を行ってくださいね」

 サクヤも二人の姿が見えなくなるまで見送った。


「はあ……。カシワザキ森林みたいな所に、また行かなければいけないのかあ」
「あおと。自然を楽しむ気持ちがあれば、どんな場所だって楽しいよ」
「そりゃそうなんだけど、楽しめる部分よりも、その反対の部分の方が僕にとっては強烈でね……」

 雪と氷で覆われたギムナジウム学園周辺の大地。
 二人で他愛もない話で盛り上がりながら歩いていくと、雪と氷も消えていき、鬱蒼とした草木が多くなっていく。

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「この辺りまで来ると、寒さはなくなるものだね」
「ギムナジウム学園は、東の大陸の最北端に位置してるから、寒さに関しては断トツでしょ」
「それはそうだけど、以前の仕事で来た山森部も、ギムナジウム学園とは違った肌寒さがあったよ。あおと、風邪をひかないように注意しないとね」
「僕は平気だよ。フェイトさん以上に、ギムナジウム学園での生活は長いし、その手の寒さには慣れちゃってるよ。今だって暑さを感じるくらいなんだから」

 そして、気が付けば侵入者を嘲笑うような、深い山森が襲い掛かる――。

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プロフィール

ピケ

Author:ピケ
2012/10/17 ドールデビュー!
初ドールはアゾン/ピュアニーモ魔女っ子みあ(白)
ツイッターでは miafun1017のアカウント名で活動中。
リンクフリーです。
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記事のコメント、拍手コメントにてお知らせくださると嬉しいです。

☆ブログ内の主な登場人物達
・祐乃=ユノ
・祐菜=ユナ
・祐音=ユネ
・千歳=チトセ
・舞香=マイカ
・夢幻=アリス
・朱葉=アヤハ
・七神=ナナカ

撮影は2014/7/18よりNikon COOLPIX P100を使用。

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