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序章5~セナの印~


「――それで、一体何の用なわけ? 可愛い坊やだけど、私は甘くないわよ」
「……っは! あ、えと、あのっ……」

 この町長の最初の言葉に、あおとは一瞬、我を失ってしまっていた。
 あおとからすれば、「何を言ってるんだ、こいつ」といったようなものだが。
 慌てるあおとに、みあは冷静に対処していく。

「あおと君、落ち着いて。まずは町長さんに挨拶をしようよ」
「あ、そうですね」

 小さく咳をして、この場を仕切りなおす。

「僕の名前はあおと。旅人です」
「そんなもの、見ればわかるわよ。私が聞きたいのは、貴方の目的は何なのかって事よ」
「も、目的……?」

 ――目的。その言葉を出されて、あおとは何の為に町長に会いに来たのかを思い出していく。
 だが、そんな目的などと大層なものは見つけられなかった。
 それもそのはずだ。町長に挨拶でもしておこうと言ったのは、あくまでみあであり、あおと自体に目的があったわけでもないのだから。
「何よ、本当に挨拶をしに来ただけなの?」
「はい、まあ、そうなりますね」
「……私はてっきり、伝説の剣――ドールソードの事を聞きに来たのかと思っていたわよ」
「伝説の剣!?」

 今まで、町長に対して大した興味を持っていなかったあおとだが、伝説の剣という言葉を聞くと、態度を一変させた。

「ふふん。やっぱり貴方も伝説の剣が目当てなわけね」
「僕の旅の目的は、伝説の剣を探す事にあるのです」
「何の為に?」
「え、何の為……?」
「そうよ。かつて二度起きた大戦を、終結に向かわせたという勇者の剣――ドールソード。そんなものを手に入れたいというのだから、何か目的があるのでしょう?」

 あおとは少し沈黙し、重々しく口を開いた。

「本当に、目的なんて大したものじゃなくて、僕の先生がそう言ったんです」
「先生って?」
「僕は北にあるギムナジウム学園の卒業生なんですけど、そこの先生です」
「へー、ギムナジウム学園の。結構有名な学園じゃない。……でも、その先生は何者なの?」
「僕の戦闘技術向上を主に担当してくれていた先生で、とっても優しい人です」
「女の人?」
「はい」

 今度は町長が考え込むように沈黙し、しばらくした後に口を開く。

「面白いわ。貴方に、カシワザキ森林の探索を許可してあげます」
「カシワザキ森林?」
「そうよ。もう何代も続いて、私の一族が管理している森林よ。一説によると、かつて大戦を終結させた勇者は、ドールソードをカシワザキ森林の奥深くに封印したというわ。……まあ、人様の土地に勝手に封印するなって話だけどね」
「……そうか。だから町長さんは、僕が伝説の剣の事を聞きに来たと思ったんだ。つまり、それだけ多くのドールが伝説の剣の噂を聞きつけて、ここへやってきたというわけだ」
「なかなか頭が良いわね。さすがギムナジウム学園の卒業生ね」
「へへへっ!」
「でもね、カシワザキ森林に入る為には、私が許可を出したという印が必要になるの」
「そうしないと、不正に土地に入り込む人がいるからですね」
「ご名答よ。まあ、不正に入ろうとしたって、森林はモンスターの巣窟となっているし、配置している門番もかなりの実力者よ。……そこで」

 町長は椅子から立ち上がり、部屋のクローゼットを漁り始めた。
 そこそこに悪戦苦闘した後、埃まみれになった町長が何かを持って出てきた。

「これよ!」
2013082114490000.jpg
「な、何すか……それ……?」
「私の許可マークが付いた、由緒正しきエプロンよ!」
「いや、見りゃわかりますって! どうしてエプロンなんですか!?」
「そんな事、私に聞かれたって……。ママの代から、既にこれだったのよ!」
「……まあ、エプロンを付ければ、もしかしたら伝説の剣を手に入れる事ができるのだから、良しとしますか」
「あら、エプロンだけじゃないわよ?」
「えっ……?」

 町長はエプロンを置き、再びクローゼットへ向かう。
 今度はきちんと用意してあったのか、すぐに戻ってきた。

「これもよ!」
2013082114550000.jpg
「私の許可印が刺繍してある、由緒正しきパンツよ!」

2013082115060000.jpg
「なん……だと……?」
「門番の所へ行ったら、エプロンとパンツを装備して、カシワザキ森林へ入りたいって言うのよ。あ、わかってると思うけど、エプロンとパンツは、しっかりと装備しなくちゃ駄目よ? ただ持っているだけでは意味がないから注意しなさい」

 エプロンとパンツを、半ば強引に渡され、出入り口まで押し戻されていく。

「――あと、私の事は町長じゃなくて、セナと呼びなさい! わかったわね!」

 それからしばらく、あおとは放心状態のまま、町長――ではなく、セナの家を後にしている。


2013082114590000.jpg
「くすくす。可愛いエプロンとパンツだったね」
「笑い事じゃないよー。そうだ、みあさんが装備してよ! みあさんなら、どんな格好でも似合うと思うんだ」
「駄目だよ。あおと君が装備しないと、きっと意味がないからねー」
「そんなー……!」

 あおととみあは、一度、宿屋マヤッチーニに戻り、装備を回収しに行った。
 そして、港町アマシーネを飛び出し、カシワザキ森林を目指す。

「……あ、カシワザキ森林の場所を聞き忘れてた」
「大丈夫、アマシーネから南に真っ直ぐ歩いていけば良いんだよ」


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2012/10/17 ドールデビュー!
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☆ブログ内の主な登場人物達
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撮影は2014/7/18よりNikon COOLPIX P100を使用。

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