FC2ブログ

起章16~真実は手の外に~

2013101917150000.jpg

「――勇者様。ご相談があります」

 思い詰めた感じで、そう告げるみあ。

「ど、どうしたのさ? みあらしくない感じだけど……」
「はい。……その、単刀直入に言います!」
「お、おう」
「私も、百年後に行こうと思います」
「……思いますって言ったって、そうする方法がないから、俺達の子をコルドリープにかけて、サクヤさんに未来へ飛んでもらったんじゃないか」
「それはっ……。それは、コルドリープを前提とした話です」
「え……?」

 勇者はわけがわからず、思考が停止しかける。

「私は、コルドリープではなく、ゴースシェルによって百年後に行きます」
「……ゴースシェル。……あっ!」

 ゴースシェルとは、使用者の魂と魔法力を、何かの物へと封印する古代魔法だ。

「私の肉体はこの時代に残して、未来へと魂と魔法力を残したいと考えました」
「いやいやいやっ、でも待ちなよ、みあ! それはつまり、魂の無くなってしまった肉体は、事実上の死を意味するんだぞ!?」
「……確かに、それはとても怖いとは感じています。でも、私達の子にコルドリープをかけ、その一生を台無しにしてしまったからには、私もせめてもの罪滅ぼしをしたいと思ったんです」
「……そうだな。あの子だけじゃない、サクヤさんだって自らの存在する時間軸を捨ててまでも、俺達に強力してくれているんだもんな。その俺達がこの時代にいつまでも残って、悠長に過ごしているわけにはいかないよな」
「勇者様……」
「とはいっても、俺には百年後へ渡る術がまるで無いんだよなあ……」

 そんな勇者の態度に、みあはクスクスと笑った。

2013101917180000.jpg

「方法が無いわけではありませんよ」
「本当かい?」
「はい。私はゴースシェルによって、魂と魔法力を百年後まで封印する方法を取ります。そのゴースシェルと、全く同じ性質の魔法を勇者様にかければあるいは――」
「へえ、ゴースシェルに類似する魔法かあ。みあは凄いな。出会った頃とは比べ物にならないぐらいに、沢山の魔法を習得しているんだな!」
「そ、そんな事ないですよ。でも勇者様――」

 みあの表情が、いつになく険しい表情へと変わった。

「その魔法の名前はゴースフロー。効力はゴースシェルと変わりませんが、対象は術者から他者へと変わっています。主な違いはそれだけですが、ただ一つ問題が」
「な、何だい?」
「ゴースシェルと比べて、ゴースフローはあまりにも成功率が低いです。というよりも、確立はゼロに近いといって過言ではありません。何故なら、過去の書物を全て調べてみましたけど、成功者は一人も存在しないのです」
「……。で、でも、決して完全なるゼロじゃないだろうし、みあがやってくれるなら必ず成功するさ!」
「勇者様。……私も、自分のできる限界まで挑戦してみます」

 こうして、勇者はゴースフローで、みあはゴースシェルを使用し、それぞれの方法と思惑を胸に、百年という長い年月への大移動を開始した――。
2013101918220000.jpg

「……ふふふ、やるっすね、あおと先輩。まさか、こんな短期間で私を倒せるくらいに強くなるとは、思いもしなかったっすよ」
「ユズハさん……」

2013101918210000.jpg


 今しがた、激闘を終えたあおとは、その戦った相手であるユズハを見つめる。

「何を情けない顔してるっすか! あおと先輩は、正々堂々と戦って、私に勝ったんすから」
「でも、こんなの本意じゃないよ! 僕も最初こそ、西側のドールであるユズハさんに敵対心は持っていたけど、ちょっとの間だけ一緒に行動してわかった。僕たちは何も変わらないんだよ!」
「……?」
「東側とか西側とか、どうしてそんな事で争っているの!? 僕達は同じように暮らしているドールであるというのは、全く違わない事実じゃないか!」
「ふふ、そうっすね……。でもね、あおと先輩、そんな事はわかってるんすよ」
「だったら何故!?」
「大陸間の戦いの歴史は、私達個人の問題ではどうにもならないんす。もっと大きな、得体の知れない何かの存在……」
「得体の知れない、何か……?」
「さ、さあ、私の意識があるうちに、あおと先輩の聞きたかった事を教えてあげるっすよ」
「あ……」

 今という時、あおとは自分の冒険の目的が、みあが西側のドール達に倒されてしまった事だと思い出した。
 一体何故、西側のドール達はみあを狙ってきたのか、そして何故みあは消えてしまったのか。

「単刀直入に言って、みあというドールを狙ったのに、明確な理由は無いんすよ」
「それって、どういう……?」
「私達は、あの時点での予言に従っただけなんす。その予言というのは、西側に脅威となるべくドールの暗殺……。あの時、そこにいたのは、あおと先輩、フェイト、そしてみあというドールだけだった」

 ユズハは痛みに耐えながらも、搾り出すように言葉を探していく。

「正直、あの時点でのあおと先輩は論外だったっす。フェイトも名の通った何でも屋っすけど、私達、四天王の強さの前にはまだまだっす。そうなると、消去法で怪しいのは、あのみあっていう白い魔法使いだけになるっす」
「どうして、みあさんが怪しいってなったの?」
「怪しいに決まってるじゃないすか。だってあのドール……実体が無かったんすから」
「えっ……!?」
「あのドール、どうやったのかはわからないすけど、魔法力で構築されたドールなんすよ。それに似た技術は、西側でも研究が進められていたっすから、肉体具現化の基礎となるアイテムを破壊する事で、具現化が解除できるのはわかってたんすよ。……だから、隙をついてそのキーアイテムの破壊をしたんす」
「そ、それって、つまり――」

 そこへ、謎の発砲音が思考を停止させる。
 はっとなって振り向いた先には、ユズハと同じく西側のドールであるサアラが立っていた。

2013101918230000.jpg

「そこまでにしてもらおうかしら? 貴方にやられたユズハを回復させなければならないの」

 サアラは、淡々とした口調でそう告げる。

「まだ、聞きたい事はあるんだ!」
「お答えする義理はありません」
「無駄っすよ、あおと先輩。サアラ先輩は、こうなったらテコでも動かないっすからね……」
「無駄口を叩いてないで、アークウエストへ戻りますよ」
「了解っす……」

 サアラはゆっくりとユズハに近付き、そっと肩を掴んだ。

「それでは、また会いましょう。不思議少年さん」

2013101918250000.jpg

 サアラとユズハは、移動魔法を発動し、北西の方角へと飛んでいった。
 その一瞬、わずかに見えたユズハの笑顔だけが、あおとの心に唯一の救いを残してくれた。

2013101918260000.jpg


↓宜しければ押していただけると、ドール達も喜びます。

にほんブログ村 コレクションブログ ドルフィードリームへ
にほんブログ村

にほんブログ村 コレクションブログ ドールへ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト



テーマ : ドール
ジャンル : 趣味・実用

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ピケ

Author:ピケ
2012/10/17 ドールデビュー!
初ドールはアゾン/ピュアニーモ魔女っ子みあ(白)
ツイッターでは miafun1017のアカウント名で活動中。
リンクフリーです。
現在、相互リンク・交流してくださる方を募集中!
記事のコメント、拍手コメントにてお知らせくださると嬉しいです。

☆ブログ内の主な登場人物達
・祐乃=ユノ
・祐菜=ユナ
・祐音=ユネ
・千歳=チトセ
・舞香=マイカ
・夢幻=アリス
・朱葉=アヤハ
・七神=ナナカ
・長門=ナガト

撮影は2014/7/18よりNikon COOLPIX P100を使用。

カウンター
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
趣味・実用
1855位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
フィギュア
83位
アクセスランキングを見る>>
参加ランキング
応援バナー
DD公式ファンブックVol.3表紙総選挙! DD公式ファンブックVol.3表紙総選挙! DD公式ファンブックVol.3表紙総選挙! 初音ミク × Dollfie Dream(R) マクロスF × Dollfie Dream(R) 雪ミク × Dollfie Dream(R)
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

カレンダー
04 | 2020/05 | 06
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31 - - - - - -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
リンク
月別アーカイブ