覇章9~二つの拳~

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「――では、時間に余裕があるわけではないですから」

 と、一言置いた後、サクヤは続ける。

「今しがた話したように、フェイトさんとあおと君は姉弟なのです。但し、正確には実の姉弟ではないのかもしれませんが……」
「さっきからよくわからない話し方をして。それじゃ、何もわかりません」
「……そうですね。わたくしも覚悟を決めます。――フェイトさん、貴女はあおと君の姉というのは間違いない事実なのですが、完全にそうだと言えない要因があります。それは――」

 フェイトは口を挟まず、サクヤの次の言葉を待った。

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「……それは、貴女は本当のあおと君の姉の、クローンだからです」
「えっ……!?」
「あおと君の姉は、生後間もなくして他界しています。――この世界におけるドール誕生の方法は二つ。世界の中心にある、神が創りしドールマシンにて造られたコーディネイトタイプと、男型と女型がいて産まれるナチュラルタイプですね」
「それは知っています。コーディネイトタイプは、産まれながらにして役割を与えられ、その役割に適合するように造られている。ナチュラルタイプは、役割から逸脱できている、いわば自由なタイプ」
「はい。ナチュラルタイプとして産まれた彼女は、この世に上手く順応する事ができなくて、その幼い命を散らせました」

 フェイトは、その言葉に対して、何も言う事はできなかった。
 いや、それに対して何か言葉にしたくなかった、という方が正しいのかもしれない。

「――わたくしは、誰にも気付かれないように、その子の一部を保存し、そして貴女をこの世に誕生させたのです」
「一体何故ですか? サクヤ先生のやった事は、どう見たってドールとしての道を誤っています」
「そうでしょうね。しかし、当時の東側に存在した"ドールの適正"を計測する機械には、勇者の才能は弟のあおと君よりも、むしろ姉の方にあったのです」

 来るべき未来の東西大戦。
 そこに必要だったのは、かつて世界を救った勇者の才能を、色濃く受け継いだ子供だった。

「あおと君の適正は、体術レベルはAランク相当でしたが、それ以外の能力は並そのものでした。魔法力適性に至っては、最低ランクのCでもあった。それに比べ、貴女はクローンとはいえども、全ての平均値があおと君に比べて高かった。唯一負けているのは、体術ランクがBであった事くらいですが、その差は微々たるものでしたしね」

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「ドールを……そんな風にランクで分ける事が、こんなにも苛立たしく思った事はないですよ」
「でもそれは、今の時代を生きる上で全てがやっている事ですし、貴女も仕事をする上で参考にしていたものでしょう?」

 正論だった。
 感情では納得できてはいなかったが、フェイトはそれ以上を言葉にする事もない――。

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「――わたくしの罪は、重々承知はしています。それに対する、わたくし自身の償いの仕方も決めているつもりです。ですがそれとは別に、わたくしはフェイトさんが、あおと君と共にこれからも戦ってくれる事を願います」

 そう語ったサクヤの言葉は、重く、そして力強いものでもあった。

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「……サクヤ先生に言われるまでもなく、私はあおとと一緒にアークウエストの野望を阻止し、この世界に永久の平和を勝ち取る為に全力を尽くすつもりですよ」
「その言葉だけで十分です。……ありがとうございます」

 フェイトは、その言葉を背中に受け、サクヤに目を合わす事もなく部屋を後にした。
 あおととは姉弟だという事実。
 自分はクローンだという事実。
 本当の両親は、伝説の勇者と魔法使いだという事実。
 重すぎるくらいの世界の真実が、その小さな双肩に圧し掛かっているのを感じ始めていた。

「通用するのだろうか。私達の力が、アークウエストという巨大な渦に……」
「――とあっ、はっ、あおっちょ!」

 そんな考え事をしている一方で、フェイトの耳には聞き慣れた間の抜けた声が入ってきた。

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「あおと……」

 そこを見ると、あおとが必至になって身体を動かしていたのだ。

「あおと、何をしているの?」
「何って、修行というか、身体を無性に動かしたくなってね!」
「そ、そうなの……?」
「僕が伝説の勇者の息子……でも、そんなのは関係ない! 僕は今までだって、ただ必至になってやってきただけだ。僕は伝説の勇者の息子だから旅をしたつもりなんてないし、伝説の勇者の息子っていう肩書きが、僕に何の恩恵をもたらした事もないんだ」

 フェイトは、そのあおとの言葉を聞いて、少しハッとなった。

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「僕が東西の戦いを終わらせられるのかなんてわからないけど、僕はいつも通り、ただ全力で戦うだけさ!」
「……そうだね。誰のクローンだとか、そんな事は些細な問題だよね」
「え、何か言った?」
「あおと! 組み手をしよう!」
「あ、ああ、良いよ!」

 二人の思惑とは関係なく、本当の大戦が始まる日は刻一刻と近付いている――。


久々に進めると、自分でもどこまで進めたのかわからなくなりますね(笑
以下、拍手コメント返信です!


>鳴らない携帯さんへ

拍手コメントありがとうございます!

なんだかんだで、目標にしていたTOP10入りを果たせました。
この拍手コメント返信を書いてる時点では、またランク外になってしまいましたが、きっと10位以内の常連になってみせますよ!
諦めずに地道に進んでいく事が重要なんだと、今、凄く実感しています。



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2012/10/17 ドールデビュー!
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撮影は2014/7/18よりNikon COOLPIX P100を使用。

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