覇章10~三日間のリミット~

 あおと、フェイトの二人がギムナジウム学園に滞在して、早くも数日が経過した。
 一流の指導員による戦闘教育も行っているギムナジウム学園では、そこに通う生徒の実力も相当に高く、二人は練習、組み手と称して毎日ように戦っていた。
 その甲斐もあってか、元々レベルが高くなっていたあおとは兎も角、フェイトの実力はあおとに勝るとも劣らないものになっていたのだ。

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「さすがフェイトさん! こんな短時間でこんなにレベルが上がっちゃうなんて凄いや!」

 あおとは嫌みの一つもなく、純粋にそう思った。

「……うん。これから戦いも激化してくるはず。私は、少しでも良いからあおとの力になりたいって思ってる」
「サクヤ先生の言っていた、勇者の話の事?」

 フェイトは肯定するように、静かに首を縦に振った。

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「僕は勇者になんてなる気はないよ。僕は今まで通りに日々を過ごして――戦っていくと思う」
「それで良いと思う。何も気を張る必要なんてない。これはただ……私が、個人的に力になりたいって思ってるだけだから……」
「フェイトさん……」

 サクヤから話を聞いた後、時折だが二人にはこういう時間があった。
 歯車が噛み合っていない――というには、あまりにも微々たるものなのだが、それを放置してしまうというのは重大な損失に繋がってしまうものだ。

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「――二人共、成長著しいようで何よりです」

 そんな二人の微妙な空気に、割って入ったのはサクヤだった。

「あおと君。フェイトさん。わたくしから貴方達に、これからの戦いに欠かす事はできないであろう、重要な出来事をお知らせします」
「重要な出来事?」

 あおととフェイトは、二人揃って同じ台詞が出てきた。

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「此処、ギムナジウム学園より南東の方角に位置する山森部があるのですが……」
「そこなら知ってるよ」

 そう言ったのはフェイトだった。

「仕事の関係で近くまで行った事があるんだけど、カシワザキ森林よりも薄暗い山森部が確かにある」
「うへえ……。カシワザキ森林よりも!?」

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 あおとは憂鬱になった。
 あの薄暗い迷路のようなカシワザキ森林。
 それと同じような山森部があるというのだ。
 そして、会話の流れから嫌な予感を感じていた。

「その山森部なのですが、奥地に小さな村があります」
「――っほら、そこへ行けって言うんでしょ! サクヤ先生はさっ」

 あおとは、わざとらしく悪態をついてみせる。
 サクヤはそんなあおとの態度を一笑に付した。

「別に行けだなんて言いませんよ」
「えっ……?」
「その村へ――行ってきてください」

 かくして、あおととフェイトは、ギムナジウム学園より南東の山森部の奥地にあるという、小さな村を目指す事になる。

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 あおと、フェイトの二人を見送ったサクヤは、無言で学園内へと入っていった。
 その時の雰囲気は、今まで二人に笑顔で接していたものとは思えない。
 学園内ですれ違った生徒達とも、軽く挨拶をするだけであり、相手をする気さえ起こしていなかった。
 そしてそのまま廊下を歩いていき、人気のない部屋の前までやってきた。

「……」

 その部屋は、以前に西側四天王の一人――リセと会っていた部屋だ。
 一呼吸の間を置いて、サクヤはその部屋へと入っていく。

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「――いつまで無駄な時間を費やしている気?」
「さて、いつまででしょうね」

 はぐらかしたのが気に障ったのか、リセは明らかな怒りの様相を見せた。
 あるいは無駄に待たされている事への怒りだろうか。

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「私だって我慢の限度はある。今からでもあの少年を追いかけて、私が狩ってやっても良いんだ」
「そうですか……。仮にもそういう事態になってしまうのなら、わたくしも全力で貴女を止めなければならなくなりますね」
「へえ? サクヤと狩りあうのも面白いかもしれないね」
「面白くはありませんが、必要になってしまった戦闘を回避しようと思うほど、わたくしは大人ではないつもりです」

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 その睨み合いは、果てしないもののように思えた。
 そう思えるほどに、二人の構築する殺気の空間は完成度の高いものだったのだ。

「――ふっ。良いだろう。サクヤは面白い気を持っているようだ。あと少しだけ待つとしようか」
「そうですか。それは――」
「但し、三日だけだ。三日間を待った後、あの少年とこの学園に対して攻撃をしかける」
「三日間……ですか」
「そうだ、三日間だけだ。それ以上は、例えサクヤと戦う事になろうとも行動に移すよ」
「……わかりました。三日間の後、攻撃をしかけます」

 ギムナジウム学園、そしてあおとへと攻撃まで残り三日間――。


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